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飲酒営業(小説)(ベビン) 

kizennさん感想ありがとうございます。
やっぱり、ミミガーのことを褒めてもらうと、うれしいです。
地の文が多いのはミミガーの癖なんですね~。
参考にさせてもらいます>w<

では、今日の小説。
今日は、ベビンのお話。
ではどうぞ~
「ふぁ~…」
仕事中なのに口から大きなあくびが出た。
肌に感じる温度は暖かく、窓から入ってくるやわらかい日光が私の眠気を誘う。
私の名前はベビン、ティルコネイルで銀行員の仕事をしていた。
「すみませ~ん」
とつぜん声を掛けられ、間抜けに開いた口を手で押さえる。
入り口の方には大きな鞄を背負った女の子が立っていた。
「これ、お願いしたいんですが」
「えーと道具を預けるんですか?」
「はい~」
正午少し前に、やっとその日初めてのお客がきた。
鞄の中から複数の道具を取り出し、カウンターに並べる。
客の名前を確認し、管理情報を調べると、
「あちゃー、もう道具を預けられる数が限界ですね…」
「あう、そうですかぁ」
「現在のご利用の状況は、こうなっておりますが」
情報が記されたノートを女の子に見せると、しばらくそれと睨めっこしていた。
「うーん…もういいや。これとこれいらないし捨てます」
女の子は個人情報の欄に記された、大きめの荷物2つを指差す。
「そうですか、わかりました。こちらの方で処分しておきましょうか?」
「あ、じゃあお願いします」
そして手続きが終わると女の子は『ありがとうございました~』とか言いながら帰っていった。
「…」
そして部屋には、また私一人。
いや、うん。こっち(ティルコネイル)に来てからというもの確かに仕事は楽だし、村の人は優しいし、かなりいい職場に恵まれたと思っている。
だが、いかんせん刺激がたりない、足りなさ過ぎる!
こう、なんとういうか、まったり過ぎるのは性に合わないのだ。
「うー…」
カウンターに頭を預けながらだれる。
結局、その日の客はそれきりだった。



―外は雨
ここ1週間の天気は悪く、殆ど毎日雨が降っていた。
そのせいか、ただでさえ普段少ない客足が、更に少なくなっている。
実は、おとといからお客が来てなかったりした。
代わり映えしない、まったりな日常の唯一の楽しみが、ここに来たお客さんとお話をして、いろんな情報を得る事だというのに…
「つまんねええええええええええええ!」
バカみたいな大声で叫ぶ。
まぁ、外はかなり大降りだし、人が通っても雨音で聞こえないだろう。
一時的にすっきりしたものの、すぐに気分が萎えてくる。
「…くくく」
だが、今日の私は違うのだ!
こういう事を見越して、今日は『秘密兵器』を持ってきていた。
そう、気分が暗くなっているのなら無理にでも上げればいいのだ!
「と、いうわけで」
一人で呟きながらカウンターの上に乗せたのは…
「さぁ、飲んじゃいますよ!」
お酒、だった―



最初は仕事中に『酒を飲む』というスリルを味わいたかっただけで、一口飲んで止めるつもりだった。
だが、持ってきたお酒が思っていたよりも美味しく、2杯目、3杯目、と飲んでいくうちに―
「あははははは!」
壁に掛けられた何の変哲もない絵画を指差して、爆笑するほど私は出来上がっていた。
そういえば、私あんまりお酒強くないんだったっけ…まぁいいや!
一人でけらけら笑いながらお酒を飲んでいると、
「うわぁ、ひでぇ雨だよ。こんちわー、ベビンさん」
「…ひっく」
世界が回ってて最初は何か分からなかったが、良く見るとそれはこの銀行をよく利用してくれる男の子だった。
「あぁ~だうぇかとおもったらきみれふか」
呂律の回っていない口で挨拶をする。
自分の言葉を聴いてまた爆笑した。
「…もしかして、ベビンさん酔ってるの?」
男の子は怪訝な顔つきで近寄ってくる。
「ぶは!やっぱ酒飲んでる!」
カウンターの上に置いてある酒を見て驚いた。
「ひいじゃない。わはひらっておさけのみらいことくらいありましゅ!」
カウンターを両手でガタガタ叩きながら、男の子に抗議する。
まったく、こいつは私の事何もわかってない!
「いやね、ベビンさん。仕事中に酒かっくらうのはヤバいんじゃないかな…」
「うるひゃい、だまれ」
ふらふらとした手つきでグラスに酒を注ぎ、またぐいっとあおる。
「ぷはー!うみゃい!」
「……」
「…う?」
なんか男の子がこちらをじっと見ていた。
「……」
「……そんにゃ、いくらわたしかかぁいいからっれみつめないれくらふぁい」
「だめだこいつ…早く何とかしないと…」
じっと見つめられて、照れてしまった。
あぁ、年下の子を狂わせる私の魅力は罪だわ!
「ほら、ベビンさん、こんなの他の人に見つかっちゃったらマズいよ!」
「な、なにふるんれふか!まらのみらりませんっ!」
男の子は私からお酒を奪おうとする。
まったく、何て奴…人から勝手に物を奪ったら犯罪だ!
「うお、結構力強い…っと、よし、取り上げたぞ!」
「あぁっ!?」
私の手から可愛いお酒ちゃんが取り上げられてしまった。
「はい、ベビンさん今日はもう店閉めた方がいいよ。これはまた明日にでも返すから」
「…」
男の子はそう言いながら帰ろうとする。
「う…うわぁあああああああああん!」
「えぇっ!?」
もうこうなったら女にのみ許された必殺技、泣き落としだ!
私はお酒を奪われた思いを込めて思いっきり泣いた。
「かえしれ、かえしれよぉ!」
わんわん泣くと男のは困った顔をしながら、またこちらに寄ってきて、
「あぁ、もう、はい!どうなってもしらないからね!」
お酒を返してくれた。
愛しのお酒ちゃんが帰ってきてくれた!これ程嬉しい瞬間はなかなか無い。
「ひゃはー、さけらぁ!」
またグラスにとくとく注いで、一気に飲み干す。
そう、私はこのために生きてきたのだ!
「…はぁ」
「もうわらひからおさけうばっらりしらい?」
「しません…」
「もうえっちらめつきでわらひをみたりしらい?」
「元からそんな目つきでみてません…」
「いっひょにおさけのんれくれる?」
「はい、飲みます…って、えぇ!?」
カウンターの裏からもう一つのグラスを取り出し、ギリギリまで酒を入れる。
「よひ、よふいった!さぁ、ろめ!」
ぐいっと、酒を勧める。
「ちょ、ちょっと…さっきのは間違いで…」
「う、…」
目をうるわせ、相手を見つめる。女にのみ許された(以下省略)だ!
「…あーもうどうにでもなれ!」
「おぉっ!いいのみっぷりらぁ!」
そうして、私はその男の子を素敵空間に連れ込んだ。



「う…」
朝目覚めるとそこは銀行のカウンターだった。
どうやら家に帰らずここで眠ってしまったらしい。
「なんでこんな所で……はっ!?」
昨日の事を思い出した。
私はここでお酒を飲み、酔っ払って…
そうだ、あの男の子はあの後どうしてしまったんだろう。
頭を起こし、周りを見ると信じられない光景が目に映った。
「な、何をやってるんですかぁ!?」
「…うっ…ぐすっ……」
男の子はさめさめと女の子のように泣いていた。
―下着だけをつけ、銀行の柱に紐で縛り付けられて。
「ひでぇよ、ベビンさん…俺もうお婿にいけねーよ…」
「……」
どうやらこれは私がしてしまったようだ。
今更ながら自分の酒癖の悪さを思い出した。
とりあえず、
「ゴメンネ、…お詫びといっちゃなんだけど」
「うぅ…ヒック…」
「お酒、飲む?」
カウンターからワインを取り出し、ゴトン、と置く。
「…ベビンさんのあほおおおおおおおおおおおおおおお!」
男の子の声は外にまで聞こえたそうな…



おわり
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