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My friends (小説)(レイナルド?) 

今日のNPCは、レイナルド先生?なのかなぁ。

『―1、2、3』
掛け声に合わせ、木刀を持った両腕を振り上げ、下ろした。
「素振り、止め!」
レイナルド先生の鋭い声が辺りに響き、空を切っていた複数の音が鳴り止む。
「ふぅ…」
僕も皆と同じように、木刀を振る手を下ろした。
疲れから、浅く肩が上下する。
「さ、今日はここまでだ。皆、帰っていいぞ」
『ありがとうございました!』
先生が校舎の方へ戻って行った。
周囲の緊張が解け、他の生徒達がしゃべり始める。
―そんな中でも僕は1人だった。
少し前に都会からこの村に引越してきたのだが、友達と呼べる者はまだ出来ていない。
それに別に欲しいとも思わなかった。
(こんな田舎なんて…)
そんな考えが表に出ているのかどうかは知らないが、
「おい、お前。これ片付けといてくれよ」
「あ、俺も俺も~」
「頼んだぜ。…ハハハ」
名前も覚えていない生徒達が、次々と木刀をこっちに投げ捨てきた。
最近、こんな事が繰り返されている。
「………」
返事もせずにただ、じっと彼等を見つめた。
「…なんだよ、文句あるのかよ?」
「別に」
それだけ言い、周りに散らばった木刀を集め始める。
たいした事じゃない。運ぶ物が増えただけだ―
「ふんっ…行こうぜ」
リーダー格と思われる男の子が声を掛けると、彼等は笑いながら門から出て行った。
「…」
集め終り、両手で担ぐ。
「…っ」
少しよろける。
情けない、自分の力が足りないのだ―そう思った。
多少ふらつきながらも、倉庫に全部運ぶ。
外に出ると日が落ちかけていた。
だが、僕は帰る用意をせず、木刀を一本手に取り校庭に繰り出す。
「……!」
無言で、校庭に立てられた棒に、剣を叩きつける。
僕は昔から剣術が好きで、都会にいた時も、よく居残って一人で修練をしていた。
それに、こうやっている時は何も考えなくて済む―
「…ただ打ち込むだけでは効果が薄いぞ。常に『誰か』を意識するんだ」
「え」
不意に声を掛けられた。その声の主は、
「レイナルド先生…」



「そうだ、足の運びにも気をつけろ」
「はい!」
先生の指摘は的確で、言われた事をやっているだけで強くなっていくような気がした。
この人は、僕が唯一この村で気を許している人だ。
今日みたいに、ときどき放課後の時間に剣術の指導をしてくれる。
「―はっ、…はっ」
「もう日も落ちてきたな。そろそろ終りにしよう」
「はい」
近くに置いておいた鞄から手ぬぐいを取り出し、汗を拭う。
まだ修練を続けたい気持ちもあった。
だが、家では母さんと父さんが待っている。遅くなって心配を掛けさせるのは良くない。
「ありがとうございました」
礼を言い、帰ろうとすると、
「友達は出来たか」
「……」
背中にそんな言葉を投げかけられた。
立ち止まり、答える。
「…必要ありません」
気に掛けてくれるのはありがたいと思うが、別にあんな低レベルな思考の友達なんて欲しくない。
「ん…『今日』みたいな事はいつもなのか」
「…見ていたんですか」
どうやら、あのやり取りを見られていたらしい。
「別に、たいした事じゃありませんよ」
「たいした事じゃない、ね……頭にきたりしないのか?」
「それは…まぁ確かに自分でやれ、とは思いますけど」
「なら、しっかり相手にそう伝えるといい。言わなければ通じない言葉ってのもある。それに…」
先生が少し考えるような仕草をし、言葉を途中で止める。
「それに、なんですか?」
「いや、何でもない。次にそんな事があったらしっかり言うんだぞ」
「…はい、わかりました」
納得はしなかったが、尊敬する人の言葉だ。言うとおりにしてみよう。



次の日の放課後、
「おい、また片付けといてくれよ」
「……」
例のリーダー格の男の子がまた、そう言ってきた。
無視したい所だったが、昨日の先生の言葉を思い出し、声を出す。
「嫌だね、それくらい自分でやれよ」
「…なんだと?」
男の子の眉がピクリと動き、声に力が篭る。
「自分の使ったものくらい自分で片付けろ、そう言ったんだ。そんな事もわからないのか?」
一度口を開くと、自分でも信じられないような挑発的な言葉が出てきた。
だが、思ったことを素直に口に出すのは気持ち良い。
そこで気がついた。
あぁ、僕は彼らに対して怒っていたんだな、と。
「てめぇ!」
―そこからは乱闘だった。
最初にかかってきたリーダー格の男の子を素手で殴って地面に倒すと、他の取り巻き達も襲い掛かってくる。
流石に数の暴力に勝つ事は難しく、最後の方はかなりボコボコにやられてしまう。
それでも、彼らの殆どを地面に伏せることが出来た―放課後での自修練は意味があったようだ。
「「はぁはぁ」」
隣に倒れている男の子と息が重なる。
体中は悲鳴を上げていたが、最近感じていた心のもやもやは無くなったような気がした。
「おい」
「なに?」
リーダー格の男の子が倒れたまま話しかけてくる。
「お前強いんだな」
「…放課後残って、剣の練習とかしてたからね」
空を眺めながら言葉を交し合う。
この村に来て、同年代の子とまともに話したのは始めてかもしれない…
「すげぇな」
「別に、すごくないよ」
「いいや、すげぇよ」
何だか分からないが褒められた。
言葉には力があり、本気で言っている様だ―悪い気分はしなかった。
「はは…」
「何笑ってるの?」
「いやさ、都会の奴ってなんか怖いな思ってたけど、別にそんな事なかったな――俺たちと一緒だ」
「……」
そう言われて気づく。
僕も同様に見知らぬ土地の人を怖がり、いろいろ理由を付けて避けていただけなのではないのだろうか…?
僕は、寂しかったのか―
「今度から俺も放課後の練習に混ぜてくれよ」
「…うん、いいよ」
別に悲しくないのに、赤く染まり始めた空が滲んだ。
「へへ、次は負けねー」
「いや、次も僕が勝つ」
そうだ、そんな簡単には勝たせてやらない。
何か、よく分からない対抗意識が芽生え始める。
「イテテ、まったく思い切り殴りやがって。…木刀片付けようぜ」
男の子が体を起こし、声を掛けてきた。
勇気を出して言おう。
「うん、でもまず聞きたい事がある」
「なんだよ?」
「君達全員の名前を、僕に教えて欲しいんだ―――」


終り
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