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CAKE(小説)(ケイティン) 

いやはや、いつの間にか20本目。
はやいなぁ。
これも、みなさんのおかげですw
これからもよろしくです。><

今日は、ケイティンです。
では、どうぞ~。
「……」
私は強大な『敵』と対峙していた。
『敵』の色は全体を覆う忌々しい白と、鮮血の色にも似ている赤―
「…ゴク」
極度の緊張からか、体が勝手に唾を飲み込んだ。
(なんで私がこんな目に会わなきゃ行けないの…!)
心の中で叫んだ。だが当然誰も助けに来てくれない。
そうしている間にも『敵』の存在感が部屋の中で膨れ上がっていく。
…このままではまずい。
そう思い、何とかしてその場を去ろうとするが何故か足が動かなかった。

冷や汗が一滴床に落ちる―
足が勝手に震えだす―
目が開く―
息が荒くなる―

「…いや……いやあああああああ!」
遂にはみっともなく叫んでしまう。
だが『敵』は叫びを聞いても、微動だにもしない。
(もう…ダメだ…)
そうして私は瞳に絶望を浮かべ、『敵』―ホールのショートケーキを見つめたのだった…


~1時間前~


「いらっしゃいませー!」
うん、今日も商売繁盛、いい日だ。
「ありがと、ケイティンさん」
お代と引き換えに、お客さんに数種類の野菜を渡した。
私は、この村で食料品店を経営している。
店は小さいながらも、繁盛しており、母と自分が暮らせるだけのお金は稼げた。
なかなか幸せな毎日を過ごしていると、自分では思っている。
そんな私にも、切実な悩みが1つあった。
それは―ダイエット。
別段、劇的に太ってるわけでもないのだが、昔からスラっとした女性にあこがれていた。
なので何度もダイエットに挑戦してる。
しかし、その効果が現れた事は殆どなく、何時も失敗して落ち込んでいた。
(あぁ・・・スリムになりたい)
それに歳を重ねるごとにだんだんとふっくらしてきてるような―
「……さん。…ケイ……ケイティンさんっ!」
「はっ!?」
自分の体型と歳について頭の中で議論していたので、客に気づいていなかった。
「す、すみません、何をお求めでしょうか」
「えーと…」
客は野菜、肉、卵など様々な物を買っていった。
その間も、思考は自分の体型の事でいっぱいだ。
(あぁ、そういえば最近また少し重くなったような気がするわ)
このままでは行けない。
もう少し食生活を厳しくしよう、そう思った。
まずは間食を全部無くして―


正午、私は昼の休憩に入ることにした。
昼食は何を食べようか、野菜を多めにしたサンドイッチなんていいかもしれない。
料理には少々自信がある。店の方にも売り物としているぐらいだ。
母は喜んでくれるだろうか。


「ただいまー」
「あら、ケイティンお帰りなさい」
家に帰ると母が出迎えてくれた。
「今ご飯作るから少し待っててね」
母の横をすり抜け、キッチンへ向かおうとする―
「あぁ、ケイティン」
「何?母さん」
「お前の友達の―さんが、お前の為にお土産持ってきたよ」
「え、何々?」
「まだ開けてないから分からないけど、何でも彼氏さんとイメンマハ行って買ってきたらしいよ」
イメンマハはウルラ大陸でも屈指の都市である。
そこのお土産か…期待できそうだ。
(それにしても彼氏と旅行ね…)
自分に彼氏がいない事を考えると、少しあの娘を妬ましく思えたがそこは我慢する。うん。
彼氏云々を無理やり頭から締め出す。
「キッチンに置いといたからね」
「はーい」
丁度いい、昼食を作る前に確認しよう。
キッチンに着くと、テーブルの上に一つの箱が置いてあるのに気づいた。
「これか」
中身が何なのか気になる。
特に我慢する必要も無かったので、その箱を開けた
「…こ、これは!―」


~元の時間軸~


「くっ…」
やめなさい、それ以上近づいてはいけないわ!
必死に自分に言い聞かせるが、ぶるぶると手が震え、ショートケーキの方へと伸びていく。
箱を開けたときから、ショートケーキは匂いを放っていた。
その匂いは、人の意思を崩す効果でもあるのだろうか…まるで食虫植物が放つ爛れた甘い匂い―
「…はっ!?」
いつの間にか、自分の手の中にはフォークが握られていた。
(な、なんで…!)
信じられない、これではまるで何かに操られているような。
(何を言ってるのよ)
「だ、だれ!?」
どこからか声が聞こえたような気がした。
だが、顔を部屋中に向け必死に『誰か』を探してもまったく見つからない。
(…ここよ、ここ)
「…え」
信じられないことにその声は、自分の胸の中から聞こえるようだった。
その声は女性、しかもどこかで聞き覚えのある―
(ふふふ…私は貴女、もう一人の貴女)
(な、なんですって…!)
(何故我慢するの?)
(え…)
『私』は私に囁き続ける。
(こんなに美味しそうな食べ物を我慢するなんて食べ物に対して失礼じゃない?)
(……)
(ほら、貴女の手は届くことができるのよ。そのケーキに)
(あ、あぁ…)
ダメだ、その声に抗う事が出来ない。
…いや、ここで諦めてどうする、朝決意したばかりではないか!
さぁ、そのフォークから手を離せ、離すんだ!
「くぅぅっ…」
(無駄よ。だって貴女は、心の奥では我慢する気なんて最初からないんだから―)
「ぁ…」
その時、自分の中で何かが崩れ去ったような気がした。


~5分後~


「ご馳走様でした」
先程までケーキが乗っていた皿に向かって、手を合わせる。
「……」
友達が持ってきてくれたケーキはとても美味しかった。
今まで食べた中で1番かもしれない。
胸に残るのは大きい満足感と、それよりも更に大きな後悔。
何か大切な物をを失った気がした。
「あ、あはは、なんか目からしょっぱい水が…うぅっ…」
生きるって、つらい事なのね。
そんな事を思った1日であった。


その後・・・・


次の日体重を計ると、きっかりケーキ分増えていた。



終わり
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