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大きいっすよ・・・(小説)(トレボー) 

ごめんなさい。先週サボってしまいました。><
ということで、今日は2話更新です。
「うぅ~っ…熱い!」
陽射しがきつく俺に降り注ぐ。
体を覆う鎧は風通しが悪く、肌に纏わりつく熱気は最悪だった。
俺の名はトレボー、ティルコネイルで自警団をしている。
新米冒険者にアドバイスをしたり、ダンジョンで倒れた者を助けたりするのが仕事だ。
今日の陽射しは1段と強く、俺の不快指数を上げるのに協力している。
「トレボーさん。僕、アルビダンジョンを抜けたよ!」
と、1人の少年が話しかけてくる。
アルビダンジョンというのは、ティルコネイルの北にあるダンジョンで、冒険者の卵が最初に挑む比較的簡単なダンジョンだ。
最近冒険者の道を歩き始めた子で、歳は10歳…かなり筋が良いと思うが、何か悔しかったので言い返しておいた。
「まだまだだな。俺は9歳で行けたぞ!」
「…へぇ~」
「む、何だその疑いの眼差しは」
「べっつにぃ~…じゃあねぇ!」
「おい!……ふん」
まったく、最近の子供は生意気だ。大人を敬う事を知らない…!
鎧の中、だらだらと流れてくる汗を我慢し、心の中でぶつぶつと言っていると、
「トレボーさ~ん」
(何だ、また子供か…)
木の棒を手に持ち、体中に小さい傷をたくさん負った少年が駆け寄ってくる。
身なりから推測するにやはり冒険者の卵だろう。
「どうした?」
「と、友達がアルビダンジョンの中で倒れちゃって…助けてください!」
しばしばある事だ。いくらアルビダンジョンが初級者向けのダンジョンとは言え、気を抜くとやられてしまう。
「ふむ、このトレボーを頼って来るとは、正しい選択したな。案内しろ、すぐに助けてやる!」
「は、はい!」
そして俺は少年に導かれるまま、アルビダンジョンへと入っていった。
…さぁ、腕の見せ所だ!



中に入ると既に大概の敵は駆逐されていた。
内部で響く音は、俺と少年の足音だけだ―
「で、その少年はどこで倒れたんだ?」
「えっと…途中まではすごく簡単で、これなら行けるって2人で喜んでたんですけど…」
「ふむふむ」
少し早めに歩きながら、少年の話を聞く。
「1番奥の部屋っぽいところで、ものすごく大きい蜘蛛が出てきて…友達はやられちゃって、僕は助けを求める為に逃げてきました」
大きい蜘蛛、か――確かにティルコネイルに生息する蜘蛛は大きめで、中でも赤いものは、下手をすると大人でも大怪我をしてしまう。
アルビダンジョンの奥には、その赤い蜘蛛が群れを成して生息していたはず…初心者には酷かもしれなかった。
だが、多少大きい蜘蛛などこのトレボーに敵うはずが無い…!
「そうかそうか…俺に任せておけ。そんな蜘蛛なんて、すぐに懲らしめてやる!」
「わぁ、流石トレボーさんだ!」
「ムフフ」
少年に自分の勇士を見せてやれる事を考えると、気分がよくなった。
「こっちです。もうちょっとだ…」
「よし…!」
そうして俺と少年は、纏わりついてくるネズミなどを蹴散らし、奥へと進んでいった。



「着きました…!」
やがて目の前に大きな扉が現れた―ダンジョンの1番奥の部屋だ。
「よし!」
腰に下げた鞘から剣を引き抜き、戦闘態勢を整える。
「さぁ…開けるぞ」
「はい…!」
少年に伝え、扉に手をかけて横へとずらした。
そして視界が広がる、そこには群れをなした赤蜘蛛が、わさわさと歩いて―いなかった。
「…え゛」
思わず口から声が漏れる。目の中に入ってきた情報を必死に脳が処理しようとするが、今まで経験した事と一致しない。
確かに赤蜘蛛はいた、だが全て腹を天に向け痙攣していた。
つまり少年達が倒したのだろう。最近の子供は中々やるなぁ…って問題はそんな事ではない!
部屋の中央部分に『そいつ』は存在していた。
赤黒い体をして、ゆっくりと歩いている『そいつ』は、少年の友達であろう子供を糸でぐるぐる巻きにしている。
子供は「うあー」とか「やめてー」とか「たすけておかあさーん」とかそんな事を叫んでいた。
「……」
体が硬直して動かない―『そいつ』は異常な大きさだった。
高さは俺と同じかそれ以上…今まで見たことも無いような巨大な蜘蛛だ。
(な、なんだよこのデカサは)
ちょっと前までこんな奴はいなかった。
今朝の少年はこの蜘蛛を倒したのだろうか…
「さぁ、やっちゃって下さい!」
後ろに隠れていた少年がはやし立てる。
正直、勝てる自身はないが、格好悪い姿見せるわけには行かない!
「ら、楽勝だな…うおおおおおおおおおおおおっ!」
震え上がる心を、叫び声で押さえ込み巨大蜘蛛に突撃する。
(俺の戦いを見守っていて下さい…ディリスさん!)
俺の女神に勝利を祈る、そして蜘蛛に斬りかかり―




「ぜはぁ…ぜはぁ…」
体中傷だらけになってしまった。
蜘蛛の攻撃はとても強力で、何度も倒れそうになったがポーション(ディリスさん特製の愛)をがぶ飲みしたおかげで、なんとか勝てた。
「ぐ…」
全力を尽くしたので、体から力が抜ける―地面にひざをついてしまった。
「大丈夫か~?」
隠れていた少年が友達の下へ駆け寄っていく。
「危うく食べられる所だった…」
そんな事を言いながら、ごそごそと糸を振りほどく少年の友達…
そうして、糸から抜け出すと2人の少年は近づいてきた。
「「ありがとうございました~」」
「お、おう…俺にかかれば…こんなやつ……」
なんだか、だんだんと視界が暗くなっているような―
「―結構苦戦していたような…」
そう言ったのは2人の内のどっちだったか、もう殆ど聞こえない…
「…ぅ」
「「―ト…ボ……さん」」
そうして俺の意識は途切れた。



幸せな夢を見たような気がする、ディリスさんに介抱される夢だ。
だが、
「……汗臭いわね」
「………」
夢の中なんだ、もっと幸せだっていいのに…




おわり
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