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HAPPY BIRTHDAY(小説)(バルター) 

今日はバルターの話です。
では、どうぞ~。
「―-いってきまーす」
声と共に家のドアが開く音で、雑貨屋の主人バルターは目を覚ました。
窓の外はまだ薄暗い。
時計を見る―
(まだ5時か…)
自室のベッドから出て隣を見るが、妻の姿は既になかった。
二度寝するのにも微妙な時間なので、起きる事にする。
「…ふぁああ…」
口から、勝手にあくびが出る。
今日も仕事があるので、いつものつなぎに着替え、部屋を出て顔を洗い、台所へと向かった。
台所に入ると、妻が声をかけてきた。
「あら、あなた今日は早いのね」
「あぁ、おはよう。…アイラの声で目が覚めてな」
アイラとは自分の娘であり、雑貨屋から少し離れたところにある書店で働いてる。
自分で言うのもなんだが、なかなか器量の良い子である。
//「まぁ、そうだったの。ふふ、あの子ったら今日だからって妙にはりきってましたよ」
妻が笑みを浮かべ語る。だが、
「…今日なにかあったか?」
自分には、今日がなんの日だかさっぱりわからない。
「…あなた、本当にわからないの?」
「む…わからん…」
腕を組み、必死に考えるがその答えは頭に思い浮かんではこなかった。
妻が呆れ顔になって言う。
「今日はアイラの誕生日じゃない」
「!」
衝撃を受ける。すっかり忘れていた。
親として少し恥ずかしくなる。
「ぬぅ…そうか…そうだったな」
「最近のアイラを見てて気づかなかったの…あんなに分かりやすくアピールしてたのに…」
「ア、アピール?」
「そうよ、例えば先々週―」



―先々週―


アイラ 「ただいまー」
妻 「あら、お帰りなさい、アイラ」
俺 「お帰り、何処いってたんだ」
アイラ 「友達の誕生パーティに行ってたの」
俺 「ほう、そうか。どうだった?」
アイラ 「うん、大きなケーキとプレゼントがあってとっても幸せそうだったよ!」
妻 「あら、よかったわね」



「ぬぅ、あれはそういう意味も込めてたのか…」
「というか、なんであの時点で思い出さないのよ…」
まったく、妻の言う通りである。普通はその時点で気づく。
「先週なんか―」



―先週―


アイラ 「ただいまー」
妻 「あら、お帰りなさい、アイラ」
俺 「お帰り」
アイラ 「見て見て、今日書店で新しく販売した本があるの」
俺 「なになに…【必見!誕生日はこのケーキとプレゼントであの子もイチコロ!】…すごい名前の本だな」
妻 「…ア、アイラこの本誰か買ったの?」
アイラ 「…誰も買ってない」
妻 「……」



「―って感じだったじゃない」
「ぬぅ…!」
顔から冷や汗が一筋、地面に向かって落ちる。
今思えばすごく具体的である。
ある意味、自分の鈍感さを褒めてやりたい。
「私はすっかりあなたが気づいている物だと思ってたわ」
「……」
「昨日なんて1番ひどかったじゃない―」



―昨日―


アイラ 「ただいまー」
妻 「あら、お帰りなさい、アイラ」
俺 「お帰り」
アイラ 「ねぇねぇ、お父さん。私最近思うことがあるの」
俺 「なんだい?」
アイラ 「人間が生まれるって事は、とてもすごい事だと思うの」
俺 「…あ、あぁそうだな」
アイラ 「その生まれた日ってその人にとってとてもとても大事な日なの、わかる?」
俺 「あ、あぁわかるよ」
アイラ 「えへへ、流石お父さんだね」
俺 「…?」
アイラ 「じゃあ、私部屋に戻るね、…ケーキッ、ケーキッ、プレゼント~♪」
妻 「あらまぁあの子ったらあんな歌まで歌っちゃって、ふふふ。ねぇ、あなた?」
俺 「…ん、あぁそうだね…?」



「―だったでしょ…」
「……」
半端じゃないアピールっぷりだ。もう、あからさま過ぎて、なんだかこっちが恥ずかしくなってくる。
だが、結局自分はそれに気づけなかった。
「ケーキは私が作ってあるけど…プレゼントはあなたが買うものだと思って用意してないわ…」
「ぐ…!」
昨日の様子からしてアイラはケーキ、プレゼントは確実に貰えるものだと思っているだろう。
それがもプレゼントがない、なんて言ったら―



―バルター妄想―


アイラ 「ただいまー」
妻 「あら、お帰りなさい、アイラ」
俺 「お帰り、アイラ誕生日おめでとう」
妻 「はい、母さんの手作りのケーキよ」
アイラ 「わぁ、お母さんありがとう!」
俺 「あー…アイラもいい歳になったし今回はケーキだけで…」
アイラ 「え…プレゼントは…?」
俺 「…ない」
アイラ 「…お、お父さんのバカッ!大嫌い!オタンコナス!ひげ!…ウワーン!」
俺 「ま、待て…」



「まってくれアイラァアアア!」
「…落ち着きなさい!」
妻にペシっと頭を叩かれ、正気に戻る。
しかし…これは…
「いかん、いかんですよ奥さん!」
「いかんですねぇ…」
妻も目を細め、考え込む。
ダンバートンには、娘の欲しそうな物は売ってない。
そういう物はだいたい他の町から取り寄せるのだが、今日1日では届かない。
「あなた、どうするの…?」
必死に考えこむ。辺りを見回すと売り物の生地や、綿、裁縫道具がある事に気づいた。
「…これだ…これしかない…!」
「…?」
「今日は店は休みだ!俺は部屋に篭る…」
「え、えぇわかったわ」
その辺にあった売り物を引っ掴み、部屋へと急ぐ。
(雑貨屋の底力見せてやる…!)


―夜、アイラ帰宅―


「ただいまー!」
(来た…!)
後ろには先程仕上がった物を隠し持っている。
これで、大丈夫だ!…と自分に言い聞かせる。
平静を装い、アイラを迎える。
「…お帰り」
「お帰りなさい、アイラ」
眼鏡の奥にあるアイラの目は、明らかに期待の色で光っていた。
「アイラ…誕生日おめでとう!」
妻が、持っていたクラッカーを鳴らす。
「わぁ、ありがとう!」
アイラの顔全体が、笑み一色に染まる。こちらも暖かくなるような表情だ。
「はい、ケーキよ。母さん頑張ったんだから!」
妻がアイラを台所に導き、ケーキを見せた。
「すごい!母さんありがとう!」
「うふふ」
妻と娘が楽しそうに会話をしている。
そして遂に、アイラがこっちを向いた。
(む…!)
何故か身構えてしまう。
アイラは何も言わずにこっちを見ている。
言葉は無いが、なにを望んでいるかなんて一目瞭然だ。
「アイラ…誕生日プレゼントだよ」
「お父さん…ありがとう!」
持っていた紙包みを渡す。
「…今開けていい?」
アイラが目をさらに光らせながら聞いてくる。
「…いいよ」
だんだんと心配になってきた。よく考えたら出来は微妙だ…でも想いは詰まってると思う…多分。
アイラが紙包みを開くと、中からクマ(を目指して作ったのだがよくわからない生物)のぬいぐるみが出てきた。
アイラがそれをじっと見ている。
(どうだ…どうなんだ!)
「…うっ…うわーん」
「!?」
突然アイラが泣き出した。
自分は、とんでもない事をやってしまったのだろうか。
「ア、アイラ…そんなに気にくわなかったか…?」
ビクビクしながら聞く。自分も泣きそうだ。
「うぅん…これお父さんが作ったんでしょ?それが嬉しくて…」
「ア、アイラ…!」
感動した。店を休んでまで、作ったかいがあった。
自分は間違ってなかったのだ!
「本当ありがとう…」
「気にしなくていいんだよアイラ、これくらい父として当然だ!」
「…あらあら、よく言うわ…」
妻が苦笑を浮かべながらそう言うが、そんなもの耳に入ってこない。
「私、一生大事にするね。このハーブ豚のぬいぐるみ…」
「…あ、あぁ、うん大事にしてねそのハーブ豚のぬいぐるみ…」
(豚か、豚に見えるのか)
まぁ、娘が喜んだならそれでいいか…。
その後、俺たちはパーティを開いてアイラを祝った。



終わり
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コメント

初めまして。
ルエリで不思議プレイしているこそあどと言います。
小説、キャラの個性と雰囲気出てておもしろいですね。
是非自分のブログにリンクを張らせて
頂きたいのですが、よろしいでしょうか。

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