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とどかないもの(小説)(スチュアート) 

今日はスチュアート先生が主人公の『とどかないもの』です。
いつもどおりの断り書きw
この小説はMMORPGマビノギの2次小説です。
ここに出てくるキャラクター達はマビノギに出てくるNPCがモデルとなっていますが、ミミガーの脳内で勝手に構成されてますので、実際の設定とは全く関係ありません。
こんなところですかw。(何か落ち度があるような気がするが・・・まぁいっか。)

全く関係ないけど、マビノギNOVELトラックバックを作ったのはいいもののうちだけ~(TT)
誰か参加しませんか~。と宣伝してみるw。
まあ、まだ作ったばっかりだしな。

いつもどおりですが、のべるページの『夢』もよろしく。

それでは、スチュアート先生の『とどかないもの』をどうぞ

薬草の匂いが染み付いた手で頭をぼりぼりと掻く。
「やっぱり足りない…」
ローブを着用している眼鏡をかけた青年―ダンバートン魔法学校の講師スチュアートは呟いた。
学校に授業を習いにくる生徒に魔法を教える事や、薬草を調合する事が彼の仕事だ。
学校にある一室の彼の机の上には、色とりどりのハーブと調合のための道具が散乱している。
今、彼は一つの依頼を請け負っている。
昨日―


「やぁやぁ、スチュアートさん」
1人の恰幅の良い、いかにも商人風の身なりをした男が尋ねてきた。
「あ、俺に何か用ですか?」
笑みを浮かべ、背負った大きなカバンを揺らしながら自分に近づいてくる。
「報酬は払うので一つお願いを聞いて欲しいのですが」
手をもみながらそう聞いてきた。―少し胡散臭いと思ってしまうのは自分だけだろうか?
「用件を先にお伺いしたいのですが」
「実は…完全回復ポーションを作って頂きたいのです!」
男はそう言い放った。それにしても
(完全回復ポーションだって?…)
完全回復ポーション―それは使用した者のケガやマナを回復させ、はてには空腹さえも
抑えてしまうという現在存在するポーションの中でも最高のポーションである。
だが出所は不明で、普通に作る事は出来ないと言われている
――が、たまに街中にある露店に並んでいたりする。
実際自分も効果を確かめるために買いに言った事があった。
何かの祝福を受けた者に天から送られる、という一説があるが流石にそれはないだろうと
考えている。
「…それは…酷く難しい事じゃないでしょうか?」
出来れば断りたい―実は昔に作ろうとして失敗した事があった。
手間と費用だけがかさみ、後には何も残らなかったという苦い過去が彼を苛めた。
「いえ、失敗してもいいのです、経費はこちらで用意するのでどうか試して頂けないでしょうか?
…これがもし成功すれば新しい市場を確保できると考えているのです!」
流石商人であるな、と思う。こんな先が見えないことに投資できるなんて…逞しい。
(だが、いい機会なのかもしれない)
そう考える。今の自分なら前より知識があるし、資金も商人が提供してくれると言う。
試してみる価値はあるような気がした。
ステージは整っている、後は役者が演技するだけだ。
「分かりました、そういう事なら出来るだけの事はやってみましょう」
そう言ってスチュアートは依頼を承諾したのだった。


「赤、青、黄のハーブを混ぜるだけじゃ駄目か…」
それぞれのハーブの比率を色々変えてみたがまったく出来そうになかった。
各種ハーブの色のポーションのような回復効果さえ表れない―どうしようもない失敗作である。
一応、闇雲にやっているのではなく過去の文献などを調べて調合しているのだがどの文献に書いてあることも虚偽であった。
寝ずにずっと作業をしていたため疲労がかなり溜まっている。
次のそれらしい文献を探す。
と、今までのとは違う書物を発見した。
今まではベースハーブと各色のハーブを混ぜると書いてあったのだが、これには他の特殊なハーブを混ぜると書いてある。
最近になってダンジョンの奥深くに今までとは違うハーブが生えているのが発見された事を
スチュアートは思い出した。
(確か外の露店にも並んでいたな…)
汚れた服を脱ぎ、身なりを整え外出用の服に着替える。
彼はハーブを手に入れるべく疲れた体に鞭を打ち、外の露店に出かける事にした。



時刻は夕方、だが広場に集まる露店の賑わいはまったく衰えていない。
ハーブと書いてある看板を探す―広場の端の方に目的の店があった。
近づき、売り物を確認する。確かに今まで見たことがないようなハーブが並んでいた。
白、オレンジ、紫のハーブがある。
オレンジ色のハーブの根が人のような形をしているのはきっと自分の気のせいだ。
あまつさえぴくぴくと動いて見えるなんて…目が疲れているのかも知れない。
少し…結構…かなり不安を感じたがそれを押しとどめ、商人に貰った経費でそれらを買った。
書物にもこれらに似たような色のハーブを使うと記されている。
(よし、材料は揃った)
露店に集まる人ごみを潜り抜け、スチュアートは学校へと戻っていった。



着替え、一息ついたところで調合を再開する事にした。本に書いてある通りの分量のハーブエキスを抽出する。
ハーブを刻む時にオレンジ色の物からけたたましい悲鳴があがったような気がした。
耳も疲れているのだ―たとえ隣の講師が何事だ、と尋ねてきても自分の聞いたそれはきっと空耳である。
今回の調合は今までのより分量、加熱時間などがかなり細かく指定されており彼の人生の中で一番難しい。
と言っても過言ではなかった。
慎重に量を測りながら少しずつ混ぜていくと不思議な香りが部屋を満たしていく。
「ふぅ…」
混ぜ終わり、彼はため息をついた。後はこのまま少し加熱して完成だ。
今回は何か今までとは違う事が起きるような予感がする―


数分後、試験管にあてていた火を止める―ついに完成だ。
気づくと机の上にはかなりの量のハーブが散乱している。
「はは……見ろ、ハーブがゴミのようだ!」
極度の疲れからだろうか、口から変な言葉が出てしまった。気にせず、比較用の完全回復ポーションと今出来た試作品とを見比べる―色は今までになく似ている。
手で仰ぎ、匂いをかいでみる、殆ど一緒のような気がした。
(これは…ついに出来たのかもしれない…!)
彼の瞳に光が宿り始める。最終段階の試験を行う事にした。
少量を別容器に入れ、口に持っていく。少し不安がよぎるが、この程度の量なら死にはしない。
「んっ…」
喉の奥に入れた―と、信じられない事に彼の疲れきった体に力が戻り始める、なぜか空腹も感じなくなり―
「おぉ…!……う?……ぁ…」
だんだんと目の前が真っ暗になっていった。
結果として彼は完全回復し、その後意識を失った…



目が覚めたのは3日たった後の病院のベッドの上であった。
完全回復するのはいいが三日意識を失うなどモンスターがうろついてるダンジョンに入る冒険者にとっては問題外である。
彼は憂いの眼差しで外を眺めた。と、そこに例の商人が心配して見舞いに来た。
今後の話を話し始めたのでそれやんわりと止め、
「いや、本当もう無理です…勘弁してください」
そう言って彼は商人を帰す。彼は精神的に限界を感じた。
(やはり完全回復ポーションなど人が作れるものではないのだろう…)
そう思い目を閉じる。

その後、彼の完全回復ポーションの行方を知る者は誰もいなかった…


おわり
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